ある地方公務員のうつ(鬱)ログ

うつ病になった某市役所職員の療養生活日記

業務放棄なのでは!?

 私の住む県でも、新型コロナの濃厚接触者に誰が該当するかの判断と、その該当者への連絡について、感染者が自ら行うこととなった。これまで保健所が担ってきた業務だけれど、保健所の負担軽減のために変更したとのこと。(いくつかの都府県でも行われているらしい。)

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 「保健所の負担軽減のため」と言えば聞こえはいいし、こんなに大変なときなのだから仕方がない、負担をみんなで分かち合おうと思う人もいるのかもしれないけれど、私には“県がやるべき業務を放棄した”ようにしか見えない。

 この変更によるメリットは負担が減る県側にしかなく、住民側には新たな負担が生じるというデメリットしかない。お互いにメリットがあってwin-winなのであればまだわかるけれど、“県の業務を押し付けられる”住民側がこの変更を受け入れる義理はないと私は思う。

 この変更に至るまでに、保健所職員の増員や、県庁内での業務の割振りの変更、民間への委託や市町村への協力要請など、考えられる限りの対応を行ったのだろうか。その上で、本当にやむを得ない事情による変更なのだろうか。とてもそうは思えない。

 自治体の責務は住民の命を守ること。今回の変更は、その責務を放棄したに等しいと言っても過言でない。市役所職員となって20年以上経つが、こんなことは今まで聞いたことがない。市町村と比べて住民との距離感が遠い県ならではの発想とも言えるし、市町村ではありえないことだと思う。世の中が大変なときだからこそ、自治体が住民の命をしっかりと守るべきではないのか。

 県内のある市は、市の関連施設で感染者が出た場合には、濃厚接触者への対応は感染者自らではなく市が行うとのこと。賢明な判断だと思う一方で、県が業務を放棄した以上、これが市町村がとるべき最低限の対応だとも思う(残念ながら、この市は私が勤める市ではない)。

 

 私も新型コロナ対応の業務に携わっていた身として、また、地方の小さな市役所ではあるが地方公務員を20年以上勤める身として、たまには仕事に関することを書いてみた。